山形大学学術研究院 極域雪氷学研究室 鈴木利孝


進化論で知られるチャールズ・ダーウィンはビーグル号による大西洋航海中、船上に時々砂が積もることを不思議に思いました。この砂はハルマッタンと呼ばれるアフリカ大陸からの風が吹いた時に積もるため、サハラ砂漠からの風送塵(エアロゾル)ではないかとダーウィンは考えました。彼がこの発見をロンドン地学協会誌に発表したのは1846年のことです。科学技術が格段に進歩し、研究の規模も広がった今日、エアロゾルと地球の気候・環境変動(地球温暖化、氷期サイクル、氷河後退、大気汚染など)との間には深い関連があることがわかってきました。とりわけ、北極や南極の雪氷の分析から多くの貴重な情報が得られつつあります。当研究室を含めた日本の極域雪氷学コミュニティでは、南極大陸で過去100万年超の気候変動を記録した氷試料の採取を目指し、グリーンランドでは過去数千年の人類活動の痕跡が詳細に記録された氷試料の採取を目指しています。新しい展開はこれからはじまります。あなたも当研究室の一員になって地球の鼓動を感じてみませんか。 研究室レジュメ(pdf)はこちら

研究クラスター:アイスコアサイエンス


南極や北極の陸地は太古の昔から不断に降り積もった氷(氷床)で覆われています。氷床をドリルで掘削して得た氷の柱状試料をアイスコアと呼びます。上の写真は南極ドームふじ基地で掘削されたアイスコア(直径約10cm)です。アイスコアは昔の地球の空気や塵を閉じ込めているため、地球の気候・環境のタイムカプセルと言えます。アイスコアを用いて過去の地球の姿を解き明かす科学がアイスコアサイエンスです。

極地アイスコアによる気候・環境復元に関する研究

南極や北極で採取したアイスコア(極地の氷河・氷床を深く掘って得た柱状の氷試料)の解析により、過去100万年の気候変動の解明を目指しています。南極観測隊や北極調査隊に参加して得た試料を用います。国立極地研究所や北海道大学低温科学研究所と共同で進めている我が国の先進的プロジェクト研究であり、大学院生も研究所の共同研究員として活躍してもらっています(履歴書に記載できるキャリアとなります)。学生を南極やグリーンランドに派遣したこともあります。

大気エアロゾルによる環境変動解析に関する研究

山形や極地のエアロゾルや積雪の物理・化学分析を行い、黄砂などの風送塵や放射性物質の輸送を解析しています。雪面に積もったエアロゾル量と雪面アルベド(太陽光反射率)との関係から雪氷汚染と雪氷融解との関連性(アイスアルベドフィードバック)なども調べています。学生を大気海洋観測補助員として海洋地球観測船「みらい」の研究航海に参加させたこともあります。

キーワード

気候変動、物質循環、北極、南極、アイスコア、エアロゾル、アルベド、金属分析、同位体分析、雪氷化学、大気化学、地球化学

メンバー

鈴木利孝(山形大学学術研究院・教授、クラスター代表)、門叶冬樹(山形大学学術研究院・教授、山形大学高感度加速器質量分析センター・センター長)、的場澄人(北海道大学低温科学研究所・助教)、飯塚芳徳(北海道大学低温科学研究所・助教)、川村賢二(国立極地研究所・准教授)

主担当教育コース・専攻:理学部地球科学コース、博士前期課程理学専攻、博士後期課程地球共生圏科学専攻

主な担当科目

地球科学I(大気・海洋・気候変動)、地球科学II(大気・水圏科学)、共通地球科学実験(大気・雪氷)、物質循環科学I、物質循環科学IV、物質循環科学演習、地球科学文献購読、卒業研究、物質循環科学特論、大気雪氷科学特論、理学特別研究、理学特別演習、特別演習、特別計画研究、特別実験、研究計画、論文計画

当研究室で卒業研究を行うために

鈴木が担当する上記の授業を高い達成度で修得している必要があります。当研究室の学術分野は既存の理数学各分野を駆使して地球を探る「地球科学」です。新学術領域として科研費研究が進められている「南極環境システム学」ということもできます。理学部理学科のカリキュラムと財政のもと、卒業研究は実験やフィールドワークを含まないデータ解析や文献調査が基本となります。

リンク

researchmap・・・鈴木利孝の研究者情報
ResearchGate・・・Scientific Profile of Toshitaka Suzuki
山形大学高感度加速器質量分析センター
北海道大学低温科学研究所
国立極地研究所
ドームふじアイスコアコンソーシアム
GRAntarctic:文部科学省 科学研究費助成事業 新学術領域研究『熱-水-物質の巨大リザーバ 全球環境変動を駆動する南大洋・南極氷床』